月とねこ

設計した物置き場です

一体印刷可能な NorthStar 外殻フレーム公開

概要

Project North Star update3 の部品配置のまま、外殻フレームデータを一体化した部品データの公開記事です。
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公開先

www.thingiverse.com

開発目的と特徴

組み立ての手間を、出来る限り落とす事を目的にしています。
そのため、前後の位置調整機能は省いています。

特徴は以下となります。
1. 一体化されたフレームである事
2. 各部品は、フレームにはめ込み固定する構造である事

公式との比較

  • メリット
    • フレーム自体の組み立てが不要
    • 部品の取り付けは、はめ込み作業のみ
  • デメリット
    • 200mm角のプリンターが必要
    • 前後の調整機構は無い(ご要望を頂ければ、追加開発を行うかもしれません。お手軽対応であれば、おでこの部分にスポンジを入れても解決出来そうです)
    • 上下の調整機構は無い(ベルトの位置調整でどうにかなるかな?と思っています)

必要な部品

ヘッドライト

USBケーブル (ラズパイ液晶使用時のみ)

組み立て結果

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お願い

North Star自体を組み立てた経験が無く、手元の部品も限られている為、配慮に欠く構造になってしまっている部分があるかもしれません。
お気づきの点や、良さげなヘッドバンドのご紹介などなど、ご指摘頂けると嬉しいです。

開発のきっかけ

何となくNorthStarには興味があったのですが、使った事が無く、良くわからないまま、Tokyo Project North Star Meetup に参加してみました。 vrtokyo.connpass.com

そこで、色々な種類のNorthStarや発表を拝見させて頂く中で「組み立てが大変」「Update3はさらに部品増えてない?」といったお声を聴きました
(数えてみたら、Update3では、27部品でした)

じゃあ、逸般ご家庭にありそうな3Dプリンターで出せるくらいのサイズで、一体化したフレーム作ってみようかなと思い、設計した次第です。
形状は、トポロジー最適化されたような形状をしていますが、各所の形状はそれなりの理由を持って設計しています。
左右非対称な部分をどうしようか、結構悩みながら設計出来たので、楽しかったです。

さいごに

最近、都内で転職を考えています。半年後くらいかなー?とのんびりとした転職活動ですが、メカ的な方のハードウェアエンジアをお探しの方はお声がけ頂けますと幸いです。
組み込みやUnityなどもお試しレベルなら出来ますが、ハードウェアメインだと嬉しいです。ロボット系が特に大好きです。

SolidWorks2019 新機能 【glTF形式でのエクスポート+Unityへのインポート 】

概要

SolidWorks 2019で追加された、glTF形式へのエクスポート機能の導入方法と、Unityへのインポート時に起きる問題への対応手順解説です。

glTFについて

モデルの形状データだけでなく、環境情報なども含めて保存する事が出来るフォーマットです。
デコシさんのブログが分かりやすいですね。 www.tattichan.work

余談ですが、MicrosoftのMRデバイスであるHololensは、元々対応していたFBXを辞め、glTFに切り替えているとの事。 今回は、この形式にSolidWorksが対応した事が気になり、導入手順まで確認した次第です。

検証環境

SolidWorksで、glTFファイルをエクスポートするまでの手順

以下のリンクに英語版のSolidWorks環境設定方法が記載されています。
基本的にこれを踏襲していますが、日本語環境依存の部分の対応を追記しています。
blogs.solidworks.com

  1. ここにアクセスし、SolidWorksのアカウントでログインします。
    ログインする際は、SolidWorksのライセンスが紐づいたアカウントが必要になります。
  2. 「Extended Reality」 と記載されている欄をクリックし「XRExporter.exe」をDLします
    f:id:RyutoAI2xm:20190119213747p:plain
  3. exeファイルを使ってインストールを行います
  4. SolidWorksを起動し「ツール」->「アドイン」を選択し、SolidWorks XR Exporter にチェックを入れます。
    f:id:RyutoAI2xm:20190119213852p:plain
  5. 適当なファイルを開き「ファイル」->「指定保存」を選択します。
  6. 「ファイルの種類」で「Extended Reality」を選択し、保存します。
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  7. 保存した際の名称でフォルダが作成され、直下にglTFファイルが保存されます

Solidworks2018以前で作成したCADファイルを使用する場合

「コンフィグレーション」タブの「表示状態」の名称を英字に変更してください。
これをやらないと、Unityにインポートする際に、Json読み取りエラーを吐きます。

名称変更は、表示状態の上で右クリック->「プロパティ」から変更可能です。 f:id:RyutoAI2xm:20190119204507p:plain
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glTFファイルをUnityにインポートするまで

「Sketchfab for Unity」というアセットを使用します。 導入手順については、以下を参考にさせて頂きました。 zeroichi.hatenablog.jp

ちょとはまった場所

  1. アセットストアからSletchfabを導入し、ソフト起動を起動するとアップデートしてねと出て来るのですが、どこからアプデすれば良いか分からなかったので
    以下より、UnityPackageをDLして、インポートして使用しました。(普通どうやるんですかね?) github.com

  2. glTFファイルは、Unityプロジェクトフォルダ以下に、適当なフォルダを作って、そこに入れましょう
    入れないとSketchfab実行時にエラーとなります。

  3. Sketchfabから「Select file」を使用してパス指定を行おうとすると、何故かエラーになるので、
    その場合は、ドラッグアンドドロップで、直接glTFファイルを選択しましょう。 f:id:RyutoAI2xm:20190119212012p:plain

Unityへのインポート結果

glTFの為、テクスチャなども、ちゃんと引っ張ってこれている事が分かります。 f:id:RyutoAI2xm:20190119213516p:plain

SolidWorks2019 新機能 【部分エッジ】

概要

SolidWorks2019で新規追加された「部分エッジ」についての解説です

詳細

下図の様に、指定した範囲内にのみ、フィレットや面取りを掛けられるオプションです。
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使い方

フィレットの場合

  • 「フィレット」コマンドを選択し「部分エッジ パラメータ」にチェックを入れ、エッジ両端からの位置を定義します f:id:RyutoAI2xm:20190119183830p:plain

面取りの場合

  • 「面取り」コマンドを選択し、フィーチャータイプを「面取りタイプ」に変更。
    「部分エッジ パラメータ」にチェックを入れ、エッジ両端からの位置を定義します。
    f:id:RyutoAI2xm:20190119185404p:plain

共通の仕様

一度「部分エッジパラメータ」にチェックを入れてモデルを作成すると、以後は、フィーチャータイプの切り替えで「フィレット」にも「面取り」にもなります。
コマンド名と結果が一致しなくなる(例 コマンド名:フィレット 結果:面取り)ので、これは良くない仕様だなと、個人的には思います。
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使用例

下記の様にフィレットや面取りが掛けられない形状に対して、強引に反映させる場合に使えそうです。

  • エラー時 f:id:RyutoAI2xm:20190119182751p:plain

  • 部分エッジ適用時 f:id:RyutoAI2xm:20190119183142p:plain

挙動の差異

  • エッジとの距離やエッジの形状によって、どのように形状が修正されるかが変化するようです f:id:RyutoAI2xm:20190119183331p:plainf:id:RyutoAI2xm:20190119183330p:plain

OculusTouch用 ライフルアタッチメントモデルの公開(FPS体験用)

概要

OculusTouchをライフルの様な配置で取り付けて、FPS体験が出来るようにする為のモデルデータ公開記事です。 f:id:RyutoAI2xm:20190109235755j:plainf:id:RyutoAI2xm:20190109235741j:plain f:id:RyutoAI2xm:20190111200611p:plainf:id:RyutoAI2xm:20190111200603p:plain

機能

こんな持ち方を想定した構造になっております   www.saba-navi.com なお、左手のOculusTouchは取り外し可能となっており、これは弾丸のリロードを行いたいという要望を反映させています。
(モデルを左右反転させて造型する事で、左右の手を逆にすることも可能です。よって、両手とも取り外し出来ないような構造にする事も可能です)

使用イメージ

youtu.be

必要な部品

  • 直径19mm、長さ600mm以上のパイプ。
    • 取り外し機能を使用する場合は、磁石がくっつく材質である事 (材質不明ですが、東急ハンズに売っていました)
    • 取り外し機能が不要な場合は、これをパイプカッター等でカットして頂ければ良いと思います。
    • www.monotaro.com
  • 左手
    • ナベネジ
      • M3x8mm 1本
      • M3x10mm 1本
      • M3x20mm 6本
    • ナット
      • M3 8個
  • 右手
    • ナベネジ
      • M3x10mm 2
      • M3x12mm 3
    • ナット
      • M3 5個
  • 取り外し機能が必要な場合

データ配布先

www.thingiverse.com

作ったきっかけ

1年くらい前に、XVIのよしたかさんと、とある会でご一緒した際
よしたかさん「Oculus Rift Touchを銃みたいに出来ると面白そうなんですけどねー(うろ覚えです)」
酔っぱらった僕「作りますよーー!!」
こういうノリで作っちゃうの楽しいので大好きですね。

造型時の注意点

両手の造型部品は、Touchに差し込む事で固定出来るようにしています。
差し込む部分が結構硬いので、材質によっては、造型部品が割れる可能性があります(ZORTRAXのZ-ULTRAで作っていました) 造型方向は、部品を寝かせて造型して下さい。

まとめ

1年くらい前に作ったモデルです。公開したきっかけは、作った事をすっかり忘れていたのを、ブログネタにしてしまえーと思った事です。 かなりニッチな分野だとは思いますが、こういう部品の設計もちゃちゃっとやりますので、何か作りたい方orお仕事のご依頼がありましたら、ご連絡下さい!

ViveTrackeのクロマキー対応用パーツ公開

概要

Trackerの色を変える事が出来るパーツデータ配布・製造方法補足・取り付け解説です。
用途はクロマキー環境で、Vive Trackeを使用する環境を想定しています。
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動作検証

2019/01/06時点ではトラッキングの精度について未検証です。随時知人に検証をお願いしていますが、検証結果や改善レビューを頂けますと幸いです。

クロマキーをかけた場合の見え方

YORIMIYAさん に、トラッカーカバーを取り付けた状態でのクロマキー検証を頂いております。 若干黒残りが見える時もありますが、ほぼ消えており、良い感じに見受けられます。

ラッキング精度の検証と、抜け具合について

なつのっとさんに、トラッキング精度の検証と、抜け具合の検証を頂いております。なつのっとさんおススメの、シールタイプのカバーで保護する方法と組み合わせるとかなりよさそうです
* 精度検証

* 抜け具合

データ配布先

個人・企業を問わず、使用して頂いて大丈夫です。ただし、この部品自体の販売は禁止します。
また、このデータ・出力品を用いて発生したトラブルについては、一切責任を負いかねますので、ご了承ください。
www.thingiverse.com

製造方法

外注する場合

DMM.com、3D HUBS などのプリントサービスか、DMにて私に直接ご依頼頂ければと思います。

DMM.com

DMM.comで色指定ナイロンだと、2パーツセットで9000円くらいです。
ただしご家庭でよく使用される3Dプリンタよりも綺麗にに仕上がります。

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3D HUBS

3D HUBSは、世界中の造型会社から出力する会社を選べるサービスです。DMMさんより安い事も多いです。ただ、出力方向が選べず壊れやすくなってしまう事があったり、色がまちまちだったりだったりと、ちょっとリスキーな部分もあります。
www.3dhubs.com

リュートへの依頼の場合

常備してない色な事もあって、1セットだとDMMよりは安い程度にしか出来ないのですが、複数個ならDMMより明らかにお安く出来るとは思います。
金額へのQAがちょいちょいありましたので、追記を。

  • 個人の方など
    上下セットで、2500円/1セットです。 3個以上は、2000円/1セットにさせて頂きます。

  • 企業案件などで、予算がバリバリある方
    1セットにつき、3000円とさせて下さい。

  • いずれも、送料は含みません。

納期については、材料が手元にある場合、5個程度で、1週間ほどです。
材料が手元にない場合は、+3日程度になると思います。

また、学生さん限定で、数個程度であれば、原材料費+送料のみで対応させて頂きます。

自作する場合

造型方向

こんな感じ f:id:RyutoAI2xm:20190105160315p:plain

サポート除去

上記造型条件で、私の環境の場合ですが、下記の写真の赤丸部分のサポートを剥がし忘れると、ちゃんと取り付けられないのでご注意下さい(青丸が剥がした場所) f:id:RyutoAI2xm:20190105154357j:plain

取り付け方法

基本的に一度取り付ければ、簡単には外れない状態になります。緩いと結構ガタガタ振動しちゃうので、きつめに設計しています。
取り付ける順番は、大きい部品(trackerの△マークがついてる方)から。向きは、trackerのLEDの穴と合わせてて頂ければと思います。
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蛇足

ここからは特に読む必要はないです。モデリングのきっかけや、苦労・改善した点なんかをつらつらと。
年明けの1/2、初詣にでも行こうかなーと思ってお昼過ぎに神社前をぷらぷらしていたところ、TLでなつのっとさんのクロマキーが話題に。

すごーい!と思っていたところ、izmさんのツイートを見て「あーカバーあればもっと良い感じになるのかなぁ」と思いながら帰宅。

で、帰宅後即ラフモデリング。ざくっとモデリング結果をizmさんに、どないー?と投げたところ、良さげだったので、ちゃんとした設計開始。

で、こっからは大変だったこと。
Vive Trackerは3Dモデルが公開されているので、クロマキーで隠したい部分のサーフェスをオフセットすればすぐかなぁと思っていたんだけど、
下図の青色部分をオフセットすると f:id:RyutoAI2xm:20190103184746j:plain
こうなるはずが(薄黄色が作成される予定の形状) f:id:RyutoAI2xm:20190103185538j:plain
こうなっちゃう。なんだこのちっこいサーフェス
一応、オフセット出来る面もあったりするんだけど、エッジが変な形状になったりする。
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しょうがないので、Solidworksのコマンドで、壊れるサーフェスと類似のサーフェスを描いてそれをオフセットすればいけるだろうと思い
Trackerのサーフェスを0mmでオフセット(サーフェスコピー)し、フィルサーフェスで近似。それに厚み付けを使って作成しました。

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最初のモデリング時は、境界サーフェスなんかを使って、全部の面を定義して書いてたのですが、3次元スケッチや複数の面や軸の定義が必要で、1か所やるのに20分くらいかかる…
やってられーん!っとなったので、上記の手法を考えて対応した次第です。

ラフにモデリングした時点からの改善点としては、以下になります。
1. 上下部品とも取り付ければ、簡単には外れない構造で設計
2. フィレット掛けられる部分はなるべくかける(怪我しないようにね)
3. USBの充電口周りの空間を広げた
4. LEDランプが見やすいように穴を広げた

あと、ラフモデリングから、ちゃんと使るモデルになるまでには、オフセットの修正や穴サイズの変更、微修正で合計4回出力しています。
パーツ自身のバネ性で、部品がしっかり固定されるようにしたのが、今回の拘り。

最後に、この記事が楽しかったので、燦鳥ノムさんドラマツルギーを、モデリング中ずっと聞いていました。どれくらい聴いてたかと言うと歌詞覚えるくらいですね。
良かったら皆さんも聴いてみて下さい!! note.mu youtu.be